EH酒造について

製造工程

洗米〜浸漬

洗米はうまい酒の土台づくり。米の浸漬時間は秒単位の勝負。

料理でたとえるなら材料の下ごしらえ。大吟醸の醸造では、玄米は元の大きさの40%以下にまで削られ、心白とよばれる半透明の小さな真珠のような良質のでんぷんのかたまりが用いられます。この洗米のタイミングは実に厳密。心白にヒビが入らぬよう、細心の注意を払いながら手洗いでていねいに米ぬかを洗い落とします。洗い場に緊張が走り、時計を見ながらカウントダウンする杜氏の合図で、全員の手の動きが見事にそろう瞬間です。

洗米が終わると、浸漬タンクの中で米に水を浸透させます。米の水の吸い具合は毎年微妙に異なるため、杜氏は過去のデータや長年の経験に基づいた最適の水量を決定し、秒単位で浸漬時間を調整。この吸水量が、次の蒸米づくりの良し悪しを左右するのです。

洗米

<洗米>昔ながらの手作業での洗米作業

浸水タンク

<浸水タンク>筒式5基、さな板式1基

蒸し〜冷却

蒸米の理想は「外硬内軟」。良い麹、良い酒母づくりの下準備。

浸漬した米は水切りをし、蒸米機で蒸します。水分量は洗米〜浸漬段階で調整しているため、蒸し時間はほぼ一定。蒸すことででんぷんに酵素作用が働き、麹菌の繁殖が促進されます。蒸米の理想形は、酒づくりに適した「外硬内軟」。できあがった蒸米は麹や酒母づくり、もろみの仕込みで使用されますが、軟らかすぎると麹の菌糸が米粒の表面にまわってしまい、酵母が思うように増殖されません。反対に、蒸し米を硬くしてしまうと酵母の糖分が出てこないので、もろみの仕込みですぐ米が融けてしまわない蒸し加減が求められるのです。

蒸し終わると、蒸米は仕込み分と麹づくり分に分けられ、それぞれ最適の温度になるまで冷却されます。

横型連続蒸米機

<横型連続蒸米機>能力:1,000kg/h
水きりした浸漬米を蒸す。

蒸米冷却機

<蒸米冷却機>風を送り強制的に冷却する。

製麹〜酛立て

米のでんぷんを糖化する「一麹」。もろみの発酵を促す「二酛(もと)」。

酒造には「一麹、二酛(もと)、三造り」という言葉があります。麹は蒸米に麹菌をふりかけて増殖させたもので、米のでんぷんを糖化させる麹の出来・不出来は、酒質に大きな影響を与えます。

さらに、この麹に蒸米、水、酵母を加えてつくる酒母は、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもの。糖分をアルコールに変える酒母はうまい酒造りには欠かせず、文字通り「酒の母」と言われています。

特に大吟醸の場合は、低温発酵で長期にわたって微生物を扱うため、空気中の雑菌が繁殖して酵母の増殖に失敗し、腐造する危険性もあるのです。杜氏は細心の注意を払いながら、麹づくりに適したぎりぎりの温度管理を徹底させています。

仕込み〜発酵

味の決め手は「三段仕込み」。もろみは、蔵の特徴の証。

酒母に蒸米、麹、水を加えて攪拌し「もろみ」をつくる仕込みは、「三段仕込み」と呼ばれる酒造過程です。仕込みは、添仕込、仲仕込、留仕込の3回に分けてブレンドされる三段仕込が一般的。添仕込〜仲仕込の間には1日「踊り」と呼ばれる休息期間がはさまれ、雑菌の繁殖を抑えつつ、計4日間で酵母の繁殖が促されます。もろみの仕込みにおいては、酒母、蒸米、麹、水の配合比率の調整によって、酒の風味・特徴が決定されます。つまり、もろみは酒蔵の味の象徴であり、杜氏の酒づくりの対する意気込みやこだわりの結晶と言えるでしょう。

仕込みが完了したもろみは早くて約20日間、遅くても約40日ほどで発酵が終了し、これを搾ることで原酒ができ上がります。

仕込タンク

<仕込タンク>容量:9キロリットル。ジャケットに
不凍液を流し冷却する。発酵期間は20〜40日間。

もろみ(造り)の三段仕込み

上槽〜ろ過・火入れ〜びん詰め

絞りたての新酒の香りに酔う。銘酒誕生の瞬間に味わう極上の喜び。

いよいよ酒造りの最終段階です。発酵が終了したもろみをしぼり、新酒(生酒)と酒粕に分ける作業は「上槽」と呼ばれます。しぼりたての新酒は、ほんのりと美しい黄金色の輝きを放ち、荒削りながらも新鮮な香りと若々しい味わいが特徴。「生貯」の場合は、一足飛びにびん詰め過程に進んで加熱・殺菌されますが、通常の酒造りでは雑味の素となる諸成分をろ過します。

さらに、防腐のために加熱処理(火入れ)を施し、タンクに貯蔵し熟成。これが原酒となり、各製品ごとに仕込水と同じ水を加えて調整されます(加水調整を行わない酒は、原酒として商品化)。最後のびん詰め過程で再び加熱・殺菌処理を施し、安全かつ高品質の商品を出荷します。

貯蔵タンク

<貯蔵タンク>容量:7〜9キロリットル。加熱殺菌し、低温貯醸する。4〜10ヶ月。

瓶詰機

<瓶詰機>最後の過程の瓶詰作業を行う。

酒蔵見学テイスティング
日本酒の製造工程を見ることができます。
また、蔵で醸造されたお酒の数々をテイスティングできます。お気軽にご来館ください。
EHグループ CEO 最高経営責任者 EH酒造株式会社 代表取締役社長 深江 今朝夫 詳しく見る

お酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁じられています。
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